Japanese English
トップ > 研究紹介 > 3. 河川生態系を工学から理解する > 3.3. 河川生態班について >

3.3.4. 現地観測

3.3.4.1. 対象地区の一部紹介

図

多摩川本川(永田地区)の概要

多摩川本川で最も多く対象としているのは、河口より48㎞から54㎞の区間です。 この中で、永田橋(河口から約51.7km)と羽村大橋(河口から約53.3km)に挟まれた約1,600mの区間(通称永田地区)には、瀬-淵構造も存在し、礫河原の保全も行われている地区で、我々の重点調査箇所にしています。 我々が所属する河川生態学術研究会の対象地域でもあります。 そのため、他大学・他学部のメンバーと共に共同研究を進めています。 右岸側は草花丘陵の段丘崖に面しているために湧水も所々見られ、河川環境管理計画においても「⑧生態系保持空間」に位置づけられている、生物相の豊かな区間ではありますが、羽村堰における大量の取水に加えて、近年河床低下が問題となっており、土砂供給等の対策が講じられています。 河床低下は羽村堰に近づくほど顕著ですが、下流ではむしろ上昇傾向の所もあります。

図1
図1) 河床低下の進む羽村堰直下
図2
図2) 河床が上昇気味の五日市線鉄橋付

平井川の概要

多摩川右岸側の草花丘陵とあきる台地の間の平地を流れるのが平井川です。 平井川は日の出山(標高902.3m)に源を発し、流路延長18.7km、流域面積38.1km^2の小さな河川ですが、この河川では河川改修が頻繁に行われており、様々な工法の構造物を見ることができるのが特徴です。 しかし、魚影は濃く、川沿いを散策すると多くの魚を見ることができます。

図3
図3) 平成3年に行われた「多自然型川づくり」
図4
図4) 平成2年以前に施工された護岸

秋川の概要

同じく多摩川右岸側のあきる台地と加住丘陵の間には秋川が流れています。 秋川は三頭山(標高1,527.5m)に源を発し、流路延長37.6km、流域面積169.6km^2の多摩川最大の支流です。 水質は極めて良好で、自然が多く残る河川ではありますが、山地の開発や森林管理の問題で、近年大量の砂利が発生し、瀬-淵構造が変質しているとの問題が漁業関係者を中心に指摘されています。

図5
図5) 一面が砂利で覆われた瀬
図6
図6) 比較的良好な環境に見える瀬

浅川の概要

浅川は平井川や秋川よりはやや下流側で多摩川に合流する支川で、陣馬山(標高857m)に源を発し、流路延長30.15km、流域面積154.6km^2の大きな河川です。 浅川は、八王子市、日野市の市街地を流れるため、平井川や秋川とは異なり、流域のおよそ4割が宅地化されているのが特徴です。 そのため、雨が降ればたちまち増水し、低水流量は極めて限られているという典型的な都市河川です。 そのため、浅川の河川計画を考える上では、流域の都市計画との連携が必要不可欠です。 ここでは、我々の研究室だけでなく、都市・交通・国土学研究室、国土交通省、市民活動と連携しつつ研究を行っています。 なお、東京大学社会基盤学科の3年生の講義「基礎プロジェクトⅠ」では、実際にこの浅川で河川調査を体験しつつ、流域の都市計画のあり方も学びます。

図7
図7) 浅川で河川調査実習中の学部3年生
図8
図8) 宅地化の進んだ浅川流域の丘陵地

3.3.4.2. 現地観測風景

とにかく楽しく、夢中になって取り組める観測を目指しています。 多摩川水系を中心に日本全国の河川を対象としていきます。

写真1
写真1) 福岡県遠賀川の源流に到達!
写真2
写真2) 群馬県渡良瀬川見学会
写真3
写真3) 秋川での礫調査
写真4
写真4) 平井川での魚類調査
写真5
写真5) 自作調査道具で早瀬に挑戦
写真6
写真6) 年末最終調査後恒例!河原の餅焼き
写真7
写真7) 定番の河原での測量調査
写真8
写真8) 浅川近くの都市河川で地元の方へヒアリング
写真9
写真9) 埼玉県の里山見学会
写真10
写真10) 河原に繁茂する植生調査
写真11
写真11) 山形遠征で落差工と戯れる
写真12
写真12) 松本遠征でなぜか同級生にケリ
写真13
写真13) 長野にて雪に埋もれてしまった礫を掘り起こす