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2. 水資源として有効に活用する

研究 2

1. 水循環の変動性を理解する

2. 水資源として有効に活用する

3. 河川生態系を工学から理解する

4. 人と水環境の合意を目指す


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2.1. 具体的な研究

2.1.1. 水循環モデリング

2.1.2. 水資源管理への適用例

2.1.3. 洪水調節への適用例

2.1.4. 将来の水文・水資源工学

2.2. 背景

世界各地で水不足、洪水被害の増大、水質汚染などの水問題が発生しており、これらに起因する食糧難、伝染病の発生など、その影響は開発途上国においてますます拡大している。 この原因には、急激な人口増加による水需要の増大や、都市開発、産業発展などの社会的要因に加えて、水循環の変動性が大きいという自然 要因が挙げられる。 そこで、世界的な水危機回避の方策のひとつとして、水循環変動の予測精度の向上が求められている。 水循環変動の予測にはまず第一に、変動のメカニズムの正確な理解が必要である。 そのためには、局所的-地球規模のスケールを網羅する高度な水循環情報を得なければならない。 そこで、水循環を詳細に観測する地上観測ネットワークの構築と、人工衛星による水循環変動の観測手法を開発が求められている。 これらの統合的な観測結果をもとに、水循環の変動メカニズムを解明し、それをもとに将来を予測できる数値予測モデルの開発、高度化が次の課題となる。 そこで我々は、国際協力の下に水循環に関する現地観測研究グループ、衛星機関、気象機関の相互調整を図って、局所的-地域規模-地球規模の水循環強化観測と水循環変動予測の共同研究を進めている。

2.3. 特徴

GISに基づく分布型モデルの開発、大気モデルとの結合、そして水資源マネジメント支援システムの開発、の3つがこの分野のテーマである。

2.3.1. GISに基づく分布型モデルの開発

地理情報システムを用いて流域をサブ流域に分割し、標高・地表面被覆・土壌・気象などの条件が異なる中で各々の水文過程を計算して流域全体のアウトプットに組織的に統合する。 水資源計画や洪水予報という目的のため、空間スケールに応じたモデル化技法の研究が必要である。

2.3.2. 大気モデルとの結合

水文モデルを用いた長期水資源予測に必要な気象条件のデータは、大気モデルを用いて与えるより道がない。 逆に、水文モデルは大気モデルの弱点である地表面のパラメタリゼーションを補うことができる。 水文モデルと大気モデルの結合は、気象学と水文学の双方にとって重要な研究課題であり、水資源予測の精度を飛躍的に高めることが予想される。

2.3.3. 水資源マネジメント支援システムの開発

自然の水文プロセスに加えて人間の水使用や流量操作を含んだモデルを構成することにより、社会経済的な要請を踏まえたマネジメントの有効性の検証および改善を物理的かつ組織的に行うことができる。